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理数探求とは?なぜ新設されたのか、「理数探究基礎」と「理数探究」の違いについて

みなさん、理数探求という言葉を聞いたことはありますか?

理数探求とは、2018年に高等学校学習指導要領が改訂され新たに新設された科目です。


今回は、理数探求とは何なのか、なぜ新設されたのかについて詳しくご説明します。

|理数探求とは?

理数探求という言葉を聞いて、みなさんどのようなイメージが湧きますか?

何となく、理科と数学を使う科目だということはイメージできますが、実際にどのようなことを学ぶ科目なのでしょうか。


理数探求とは、2018年に高等学校学習指導要領が改訂され、新たに「理数探究基礎」と「理数探究」という2科目が それぞれ選択履修として新設されました。


「理数探究基礎」と「理数探究」の違いとは?

2018年に新設された「理数探求基礎」と「理数探求」の違いは何でしょうか。


「理数探究基礎」では、特に理数系の科目で必要とされる、観察・実験・調査などの手法や統計した情報の処理方法などを学びながら、探求学習をしていく科目です。


理数系で学んだ基礎知識の再確認や、学んだことを実社会でどう活用していくかなどを、探求学習と組み合わせることで他者と議論しながらも最後まで粘り強く探求に取り組む姿勢を身に付けてもらうことを目的としています。


それに対し、「理数探究」では、個人又はグループで数学や理科に関する課題を設定させ、その課題の解決策も数学又は理科に基づく手法を使用しながら探求してくという科目です。


理数探求ではただ学ぶだけではなく、発表会や探求した成果の過程や結果を報告書にまとめてるまでが一連の流れとして求められます。


これまでのように、数学や理科をただ学ぶだけではなく、「理数探求基礎」では、学んだことを実社会でどう活用していくのかを身につけ、「理数探求」では学んだことを実践的に活用し、最後には発表会や報告書にまとめるなど、より社会に近い形で学習が行われます。





|理数探求新設された経緯


「理数探求基礎」と「理数探求」がどのような科目なのかは分かりましたが、なぜ、2018年からこのような科目が新設されたのでしょうか。


それは、2015年のPISA*等の国際調査結果から日本の生徒が諸外国と比べて数学や理科の学習に対する興味・関心・意欲について課題があると示されたことがきっかけです。


日本が直面している課題を解決するためにはイノベーションが必要とされており、イノベーションを起こすような人材を育てていくには、多様な学問分野で得た学びを統合し、従来の慣習や常識にとらわれることない柔軟な思考と斬新な発想が求められます。


また、日本には、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)という国が指定している高等学校がいくつかあり、そこでは生徒自らの興味関心に基づき様々な課題研究を行っており、その有効性も広く認められています。


以上のことから、数学や理科的な見方・考え方を組み合わせた探求学習を各学科に共通する教科として新設することで、課題解決能力の向上などが期待されています。


また、この教科の考え方は米国のSTEMScience, Technology, Engineering and Mathematics)教育と同じような方向を向いていると考えられています。


*PISAとは・・・OECD加盟国(経済協力開発機構の略で、ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関)を中心として3年毎に実施される15歳を対象とした国際的な学習到達度テストのこと





|理数探求の事例


理数探求という科目は、イノベーションを起こすような人材を育てるためにも必要だということが分かりました。


2018年に高等学校学習指導要領が改訂される前から理数探求のような授業を行っていたSSHではどのような活動が行われていたのか、【付録1】【理数編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説で掲載されている、理数探究の事例イメージをご共有します。

設定した課題 
ダンゴムシの交替性転向反応はどのようにして起こるか 
探究の目的 
ダンゴムシの交替性転向反応がどのような状況で起こるかを探る。 
方法と結果 
次の(1)から(4)の実験では,ダンゴムシがどのように進行するかを観察し,それぞれの 実験結果を矢印で示した。
なお,図中の数字は,各実験の数字に対応している。 
(1)障害物の無い平面に置いた場合 →ほぼ直進した。 
(2)曲面の壁に接触させて置いた場合 →ほぼ壁に沿って進行した。 
(3)進入角度を変えて壁に接触させた場合
 ①左から斜め 45 度で進入 →全て壁に沿って右に進行した。
 ②右から斜め 45 度で進入 →全て壁に沿って左に進行した。 
③壁に対して垂直に進入 →左へ進行するものと右へ進行するも のが同数ずつ観察された。 
(4)直角の角から障害物の無い平面に進行 させた場合 →全て直前まで接触していた壁側へ曲 がって進行した。 以上の結果から,ダンゴムシの行動には壁が影響を及ぼしていることが示唆されたた め,次の実験を行った。 
(5)体の左右両側が壁に接触するT字型分岐迷路に置いた場合 →迷路の途中で止まってしまったり,分岐点で左右不規則に進行したりした。 
考察・推論  
体の左右のどちらか片側が壁に接触している場合は接触する壁に沿って進行し,やがて壁の無いところに出た場合は直前まで接触していた壁側へ曲がって進行した後,最初に接 触した壁に沿って進行する。この行動が連続することにより,交替性転向反応が起こるの ではないかと考えられる。また,ダンゴムシは体の左右両側が壁に接触している場合は交 替性転向反応が起こらないことが示唆された。 
参考:新たな展開  
さらに,交替性転向反応は壁が無くても起こるかを検証するために,水に囲まれたT字 型分岐迷路を用いて,迷路に壁を設置しない場合と設置する場合との比較実験を行ったと ころ,結果は以下のようになった。 
(6)水に囲まれたT字型分岐迷路に置いた場合 
①迷路に壁を設置しなかった場合 →交替性転向反応が観察されなかった。 
②迷路に壁を設置した場合 →交替性転向反応が観察された。 以下省略

このように、生徒自身が興味関心のあることについて、理数的な方法を用いて研究していくという内容になっています。




|まとめ

2018年に高等学校学習指導要領が改訂され、新たに「理数探究基礎」と「理数探究」という2科目が それぞれ選択履修として新設されました。


それらは、2015年のPISA*等の国際調査結果から日本の生徒が諸外国と比べて数学や理科の学習に対する興味・関心・意欲について課題があると示されたことがきっかけです。


科目内容としては、「理数探究基礎」は、特に理数系の科目で必要とされる、観察・実験・調査などの手法や統計した情報の処理方法などを学びながら、探求学習をしていく科目で、「理数探究」は、個人又はグループで数学や理科に関する課題を設定させ、その課題の解決策も数学又は理科に基づく手法を使用しながら探求してくという科目です。



参考

 

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