学校や教育現場でよく耳にするようになった探求学習という言葉。なぜ、今こんなにも探求学習が必要とされているのか、ご存知でしょうか。
今回は探求学習についてはもちろんですが、なぜ必要なのかについてまとめました。
探求学習とは?
探求学習とは、生徒自身が課題に対する問を立て、その問に対する答えを自らが導き出すという「探究心」を大事にしながら、課題発見能力や問題解決力に必要な能力を育むための学習のことです。
問に関する情報の収集、整理、分析や、他者とのディスカッションを行いながら、生徒自身で答えを導き出します。
なぜ探求学習が必要なのか?
なぜ、探求学習がここまで必要とされているのでしょうか。
それは、グローバル化や科学技術の発展、そして新型コロナウイルスなど、未来を予想することが困難な時代に入っているなかで、これまでのように暗記や反復学習のみの科目教科だけでなく、変化に対応していける人材が必要になっているからです。
また、OECD*(経済協力開発機構)が実施した学習到達度調査(PISA)とIEA*(国際エネルギー機関)国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2007)の結果では、日本は「読解力や記述式の問題に課題」、「小学生と比べると、中学生の数学・理科に関する興味・関心が低い」、「学校外での一日の過ごし方(ほとんどの時間をテレビを見て過ごしている)」などに特に課題があるとされています。
また、平成21年度全国学力・学習状況調査(小学校)の結果では、文章で書かせる指導をよく行っている学校や学校の諸活動へのボランティア参加が多い学校は正答率が高くなっているという結果が出ています。
これらの結果やこれからの未来を踏まえて、探求学習が重視されているのです。また、この探求学習が導入される上で「生きる力」をはぐくむということも重視されています。それでは次に「生きる力」とは実際何を指しているのかについてご紹介します。
*OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)・・・ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関のこと。
*IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)・・・OECDの枠内における自律的な機関
「生きる力」とは?
「生きる力」とは平成20年(2008年)3月に文部科学省は小・中学校の学習指導要領を改訂した際に、掲げた理念で、「知・徳・体のバランスのとれた力」のことを生きる力と総称しています。
知・徳・体のバランスとは
・ 基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、表現することにより、さまざまな問題に積極的に対応し、解決する力
・ 自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性
・ たくましく生きるための健康や体力 など
新学習指導要領ではこの力をよりはぐくむことを目指しており、「ゆとり」でも「詰め込み」でもなく、これからの時代を生き抜くために必要となる「生きる力」を身に付けるための内容となっています。
また、文部科学省では生きる力を身につけることで下記の資質・能力が身につくための後押しになると伝えています。
・学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性など
・実際の社会や生活で生きて働く知識及び技術
・未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力など
実際何が変わったのか?
学指導要領に探求学習が重視されるようになった背景や、理由はお伝えしましたが、実際の学校現場ではどのような学習が導入されるのでしょうか。小学校、中学校、高等学校で新しく導入された教科をご紹介します。
小学校
・外国語活動(3,4年)
・外国語(5,6年)
・特別の教科 道徳
中学校
・特別の教科 道徳
高等学校
・理数
・総合的な探究の時間
グローバル化に対応するべく、外国語でのコミュニケーション能力を上げるために3・4年生から活動型学習として外国語と触れ合う学習が導入され、5・6年生では教科型学習として取り入れられます。
小学校での学習が中学校と綿密に連携することで、英語教育の早期化によるコミュニケーション能力の強化になることが期待されています。
また、これまであった「道徳の時間」は「特別の教科 道徳」に名称が変わっていることについては、いじめ問題が大きく関わっています。
いじめを苦にして自ら命を絶つ痛ましい事件が繰り返し起きていることから、道徳教育の実効性が求められています。
これまで、教科科目ではないことから軽んじられていた道徳教育を教科化することにより、履修の義務や検定教科書の使用義務、評価の導入がされます。
また、高等学校ではこれまで必修科目であった「総合的な学習の時間」が「総合的な探求の時間」に名称が変わり導入され、他にも「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」が選択科目として新設されます。
まとめ
探求学習とは、生徒自身が課題に対する問を立て、その問に対する答えを自らが導き出す学習です。
未来を予想することが困難な時代の中、変化に対応していける人材が必要ということで探求学習が求められるようになりました。
また、2008年3月に文部科学省は小・中学校の学習指導要領を改訂した際に「知・徳・体のバランスのとれた生きる力」を身につけることが重要だといっており、それらを身につけるために外国語の授業が小学校3・4年生から始まったりとさまざまな学習が変更、導入されています。
FROGS流PBLワークショップ
イノベーター育成者ライセンス事業
PBLとはアクティブラーニングの手法の1つであり、現在多くの大学、高校が注目をし導入も始まっています。
「イノベーター育成者ライセンス事業」は弊社の基幹事業である、“Ryukyufrogs”から生まれたサービスです。12年間開発してきたPBLカリキュラムを一般向けにカスタマイズし、ライセンス化いたしました。
指導要領の改正によって、「探求学習を実施しなければならないが、何をしていいかわからない。実施はしているが効果的な実施方法を学びたい」などのニーズに応え、PBL/アクティブ・ラーニングカリキュラムの構築・導入、教員研修まで全面サポートします。
株式会社FROGSでは、個人・法人問わず、「教えない、気づかせる教育」ノウハウを提供する「イノベーター育成者ライセンス事業」を展開しています。
詳しくは、こちらからお問い合わせください。
過去に研修を行った事例
Commentaires