国際社会共通の目標としてたてられたSDGsですが、目標の達成に向け世界で様々な取り組みが行われている中、SDGsがいまいちどのような内容なのか分からないといった声も少なくありません。
そこで今回は、SDGs17の目標の1つである目標11「住み続けられるまちづくりを」についてご紹介します。
持続可能な開発目標・SDGsとは?
SDGsは「Sustainable Development Goals website」の略称であり、日本語では持続可能な開発目標という意味です。
2001年に策定され、2015年に達成期限を迎えたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、17の国際社会共通のゴールと、169のターゲットから構成されており、2016年から2030年までの期間での達成を目指しています。
こちらがSDGsで掲げられている17の目標です。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレをみんなに
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の具体的な課題とは?
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の課題とは何なのかわからない方へ、具体的な課題が示されているターゲットをご紹介します。
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」
都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
11.1 2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の住み続けられるまちとは?
SDGs目標11のターゲットの次には、住み続けられるまちとはどのようなまちなのかをご紹介します。
国連連合広報センターの持続可能な開発目標(SDGs)報告2019によると、世界ではSDGs目標11ではこのような課題があると発表されています。
・20億人はごみ収集サービスを利用できていない
・都市住民の10人に9人は汚染された空気の中で生活
・150ヵ国が都市計画の国際政策を策定し、そのうちの半数は計画を実施中
2018年のデータ
・都市住民の4人に1人はスラムに類似した環境で生活
・公共交通手段へ便利なアクセスが可能なのは、都市住民のわずか半数の53%
また、2015年の国連連合広報センターの持続可能な開発のための2030アジェンダ採択 -- 持続可能な開発目標ファクトシートではこう発表されています。
・世界人口の半数に当たる35億人が現在、都市に暮らしています。2030年までに、都市部の人口は世界人口のほぼ60%を占めることになります。
・現在、スラムには8億2,800万人が暮らしていますが、その数は増加の一途をたどっています。
・面積にして地球の陸地部分のわずか2%にすぎない都市は、エネルギー消費の60~80%、炭素排出量の75%を占めています。急速な都市化は、真水供給や下水、生活環境、公衆衛生に圧力を加えています。しかし、都市の稠(ちゅう)密(みつ)性(せい)は、効率性を高め、技術革新をもたらしながら、資源とエネルギーの消費を低減する可能性もあります。
・都市は、エネルギー供給を浪費にしかねない一方で、エネルギー消費を削減し、環境に優しいエネルギー・システムを採用することにより、その効率を最適化できる能力も秘めています。例えば、中国の日照市では太陽エネルギーの活用が進み、市街地では99%の世帯が、すでにソーラー給湯器を使用しています。
2015年時点では、世界人口の半数である53億人が都市に暮らしていると発表されていますが、今現在でも都市に暮らす人の人数は増え続けています。
都市に人口が集中すると、住居費の高騰したり、交通渋滞の発生、排気ガスによる空気汚染、生活ゴミの処理はどう行うかなどの問題があります。
また、貧困層が暮らすまちには、極貧層が居住する過密化した地区(スラム)があり、犯罪が頻繁に起こる原因の一つとされています。
さらに自然災害に対応できるまち作りも必須です。自然災害による被害をいかに小さく抑え、早く復旧できるかがこれからのまちづくりに求められる条件です。
「住み続けられるまちづくりを」を築くための取り組みとは
最後にSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を達成するための取り組みをご紹介します。
2018年に日本政府は29の自治体を「SDGs未来都市」に選んでいます。
その中の富山県富山市は「コンパクトシティ」を目指しており、公共交通を充実させ、高齢者も簡単に移動することが可能です。また、人の行き来が増えることで活気あるまちづくりが実現できます。
他にも北海道下川町では、豊かな森林を活用したまちづくりが行われており、バイオマスエネルギーによって、使用される熱エネルギーをまかなったり、高齢者が集まって暮らす長屋風の住居をつくったり、住み続けられるまちづくりに挑戦しています。
イギリスのトッドモーデンでは、庭、道沿い、店先など、まちのいたるところに食べられる植物を植えて「好きに採って食べていいよ」と声かけすることで、まち住人のコミュニケーションを生んだり、まちに植物を植えることで風景を綺麗にしたりしています。
まとめ
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」では、都市への人口の集中や、スラムの問題、自然災害に対応できるまちづくりの促進などが目標とされています。
日本では、まちの公共交通を充実させて高齢者の移動を楽にしたり、バイオマスエネルギーによってまちで使われる熱エネルギーをまかなうなど、住み続けられるまちづくりが行われています。
最後に
弊社では国際社会の共通目標「SDGs」を子ども達へ理解してもらい、課題をどう解決するかを考えるワークショップを行なっています。
FROGS版SDGsワークショップ
弊社のSDGsワークショップでは、小学校高学年以上の学生向けのグループワーク形式のワークショップを行なっております。
まず、SDGsについてや、17の目標を子供達にも分かりやすく説明した上で「2030年、幸せな社会とは何か?」という問いを子ども達に考えてもらいます。
その後、自分たちが求める幸せな世界はSDGs17の目標のどれに当てはまるか、またそれを実現させるには今現在どのような課題があるのか、それをどう解決するかまでを考えてもらい、最後には発表をしてもらいます。
このように今起こっている課題に対して、自分だったらどのように解決するかを考えてもらうことで、課題を「自分ごと」にし、行動を促すワークショップとなっています。
2019年1月に行なったSDGs研修では、子ども達メインのワークショップに保護者も混ざって一緒にワークショップを行いました。
そこでは、子ども達、保護者が考える2030年の幸せな世界について議論していました。このようにFROGSでは、子どもと大人が混ざってワークショップを行う研修もご用意しております。
また、その様子を沖縄地元紙の琉球新報さんがまとめてくださったのでぜひ、こちらからご覧ください。
弊社のSDGsワークショップについて気になった方は、各種研修紹介ページからお気軽にお問い合わせください。
参考
国連連合広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)報告2019
国連連合広報センター 持続可能な開発のための2030アジェンダ採択 -- 持続可能な開発目標ファクトシート
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