最近、日本でも少しずつ広まり始めているSEL教育についての基礎知識をここで押さえましょう。
SELとは
SELとは、Social Emotional Learningの略で、日本語で「社会性と情動の学び」と言います。子どもたちの対人能力や共感力、自己理解や感情制御力を育てるための学習や体験を行うプログラムのことを指します。問題解決能力などの「非認知能力」をはぐくむことができるといわれる教育で、アメリカを中心にイギリスやカナダなどの学校で積極的に取り入れられています。
SELで伸びる力
SELで伸びる力は大きく分けて2つあります。
1つ目はSocialの部分の「社会性」です。他者と関わるときに必要な、協調性やコミュニケーション能力、最後まで責任をもってやり抜く力などです。
2つ目はEmotionalの部分の「感情」です。自己理解を高め、自分を尊重し、感情を自制する力を育てます。
つまりSELでは学力を伸ばすのではなく、「非認知能力」といわれる、数値化がむずかしい力を伸ばします。
SELが注目される理由
現在、SELが注目される理由も大きく分けて2つあります。
1つ目は「人間力」が評価される社会に変化してきたことです。これまでは、「学力」や「運動能力」などの数値化しやすい能力で評価されてきました。しかし、近年では数値化できない「コミュニケーション能力」や「問題解決能力」などの方が、急速に変化する社会を生き抜くために必要な力であり、将来の成功につながりやすいと考えられるようになってきています。
2つ目は子どもたちの心を育てる教育の必要性が高まってきているからです。ストレス社会と言われる現代は大人だけでなく、子どもたちもストレスを感じて生活しています。親からのプレッシャー、過密なスケジュール、不安定な家庭環境、そしてコロナ禍における様々な制限や分断などが原因と考えられます。ストレスは、学習に影響を与えるだけでなく、心の成長にも大きく関わってきます。実際に文部科学省が令和2年に行った調査結果によると、不登校児童生徒数が8年連続で増加し、自殺した児童生徒数は過去最多となっています。
これらの状況を踏まえ、SLE教育を実施することで、子どもたちの自尊感情や他者認識を伸ばすことが期待されています。
株式会社FROGSの活動
株式会社FROGSは2022年に沖縄県豊見城市のワク・ドキこども未来プロジェクトグローバル人財育成事業の一環として、とみぐすくミライアカデミーを開講しました。株式会社FROGSで14年間、試行錯誤しながら進化・継続してきた経験を活かし、豊見城市在住の小学生へワークショップを行いました。
この講座は半年間かけて、世の中に溢れた社会課題をテクノロジーで、どう解決するかを考えるものです。プログラミング等の技術だけを身につけるのではなく、自分自身の人生や社会について考え、子どもたちの「自己肯定感」「チャレンジ精神」「主体性」などの非認知能力を育みました。
参加した子どもたちや保護者からは「歳や学校が違う人の意見や考えを聞き、取り入れ、自分の発表に活かすことができた」や「本人の視野が広くなり、今も様々な事柄に挑戦しようと模索しています」などのお声を頂きました。
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まとめ
子どもたちの課題解決能力を育てるために学校教育で探究学習が始まりました。その内容は年々充実してきているものの、グループワークが苦手でうまく参加できなかったり、いじめ等を懸念してグループが作れなかったりという実態もあるようです。まずはSEL教育を行い、探究学習をより深いものにする土台をつくる必要があるかもしれません。
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