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義務教育から高等教育まで取り入れられている探究型学習とは?

 2022年度から高校に新しく導入される学習指導要領の中で、「探究」と名のつく科目が一気に新設されています。今後、小学校や中学校にも、従来型の授業だけではなく、探究型の授業が必修科目として加えられるのではないか、と言われています。近年では、学校教育現場だけでなく、「探究型学習」を重視した塾が開校されています。

目次

1.探究型学習がとり入れられた背景とは?

2.探究型学習の2つのポイント

​3.探究型学習のステップ

4.「探究型学習」のメリットとは?

5.アクティブラーニングと探究型学習の違い

6.探究型学習のメリット

7.探究型学習の取り組みを紹介

8.まとめ


「探究型学習」が取り入れられた背景とは

 探究型学習が取り入れられた背景には、世の中の変化に対応できる人材が求められていることが挙げられます。近年の技術革新によってネットワークが進化しています。今後、科学技術の発達やグローバル化によって、海外の人とも、アイデアを出し合いながら、協働して問題解決にあたらなければいけない場面が増えます。そうしたなかで、日本人特有の個性を表現することや相手に意見を伝えることなどの「伝えることが苦手」という意識を克服しなければなりません。文化の異なる相手ともディスカッションやプレゼンテーションをする力が求められます。今後、科学技術の発達により、荷物の梱包作業など「ロボットにもできる単純作業」の仕事が人間からロボットへと移り変わります。つまり、作業の指示を待つような仕事は無くなっていき、コンピュータでは対応できない難しい課題や、人間の感受性が問われる領域に、自ら取り組む人材が求められます。こうした社会的な変化を見据えて、命令に従って言われたことを言われたとおりにやるのではなく、自分自身で主体的に問題を発見・解決する(考えて行動する)人材がより求められています。自ら問題を発見したり、問題を自分ごとと捉えて解決するためには、知識だけではなく、思考力や判断力、表現力が必要です。探究型学習は、これらの力を育成することに適した学習方法なのです。


探究型学習の2つのポイント


 探究型学習の重要なポイントは、「対話的な学び」と「主体的な学び」です。これは、探究学習に関する事柄が表記されている学習指導要領にも小学校から高等学校まで明記されています。対話的と主体的を具体的に掘り下げていきたいと思います。また、文部科学省の【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領では、下記の通りに明記されています。


「対話的な学び」とは,他者との協働や外界との相互作用を通じて, 自らの考えを広げ深めるような学びである。以前より, 他者とともに探究に取り組むことを大切にしてきたように, 探究の過程を質的に高めていくためには,引き続き異なる多様な他者と 力を合わせて課題の解決に向かうことが欠かせない。

「主体的な学び」とは,学習に積極的に取り組ませるだけでなく, 学習後に自らの学びの成果や過程を振り返ることを通して, 次の学びに主体的に取り組む態度を育む学びである。

【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領 120-121より引用 https://www.mext.go.jp/content/1407196_21_1_1_2.pdf


 対話的とは、つまり「話し合い」です。自分と異なる意見(相手)と話すことで生徒自身の「深い学び」に繋げることができます。主体的とは、児童生徒が自ら主体となって活動することです。探究型学習では、生徒自らが主体的に動き、課題解決に向けて他者と協力することが求められます。生徒の興味関心のある分野から派生させていくプロセスが大切だと考えられます。

 

探究型学習のステップ

 探究型学習とは「自ら学び自ら考える力」を育てる学習形態をさします。従来の教科書に沿って一から学ぶような授業形式から、探究型学習は、生徒自ら主体的に動き学んでいく授業形式になっています。生徒自ら選んだ課題に対して、生徒自身が情報収集、情報の整理・分析、結論のまとめとプレゼンテーションを自ら主体的に取り組むことで、課題解決に必要な思考力・判断力・表現力などを養う学習方法です。情報収集では、教材や文献などの資料を用いるだけでなく、フィールドワーク(校外活動)や観察、実験なども行われます。文部科学省では、探究型学習を「自ら学び自ら考える力の育成」と定義し、従来の習得型の学習と合わせて、総合的な育成が必要であるとしています。


「探究型学習」のメリットとは?

 探究型学習のメリットを、先生側(指導側)と生徒側(学習側)に分けて説明します。

先生側(指導する)のメリットは、探究型学習の場合、少人数グループを作って課題に取り組みます。指導する側のメリットとしては、先生の目が子どもに行き届きやすくなり、一人ひとりに応じた効率的な指導がしやすくなると考えられます。探究型学習の視点での授業づくりを行うことによる、指導技術の向上も期待できます。生徒側のメリットとしては、従来の授業に比べて①知識の定着②「学び方」が身につく③思考力・表現力等を高めるなどが挙げられます。「インプット」を重視した学習から「アウトプット」を重視した学習に変化していることで様々な学習効果が見られます。



「アクティブラーニング」と「探究型学習」の違い

 アクティブラーニングとは主体的・対話的で深い学びのことで、探究型学習よりも比較的抽象的な言葉です。「探究型学習」は、アクティブラーニングに比べてより「具体的な手法」のことを指します。ちなみに、アクティブ・ラーニングとは、能動的学修のことです。生徒、学生が受け身ではなく、自らが考えて物事に取り組むように設計された学習法です。具体的には、グループワークやディベートが一例としてあげられます・生徒・学生の認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験といった能力を育むことが期待されています。



「探究型学習」の取り組んでいる事例

 探究型学習の取り組み事例として、マイプロジェクトとRyukyufrogsの2つの事業を紹介します。

①マイプロジェクト

 探究型学習の具体的な事例としてNPO法人カタリバが運営する「マイプロジェクト」が挙げられます。マイプロジェクトは、東日本大震災をきっかけに高校生が社会とつながりながら、自らの興味や関心があるテーマに主体性を持って取り組むことで、その先も自ら人生を切り拓いていけるようにと願い創設されました。生徒が「主体性」をもって、つくりたい未来に向けて「アクション」を行っていく、学びのプロセスです。学校を飛び出し、生徒自ら、興味関心のある地域課題を探究します。「マイプロジェクト」は、全国各地で行われています。2022年の学習指導要領に「探究学習」が取り入れられる背景もあり、「探究学習」の一環として全国の高等学校教育で取り入れられています。


■マイプロジェクト 公式HP



②Ryukyufrogs

 2008年から始まった沖縄県内の学生を対象とした、世界と沖縄をつなぐ若手イノベーター人財を発掘・育成する半年間のハイブリッドイノベーター型人財育成プログラムです。半年間の研修では、自分が解決したい課題に向き合い、その解決策をテクノロジーを用いて学生目線で考えます。グローバル研修ではシリコンバレーやヨーロッパなど世界各地の方々とオンラインで繋がり、様々な方と交流しながら研修を行います。沖縄県以外にも全国5拠点(北海道、福島、茨城、高知)でプログラムが始まっています。Ryukyufrogsでは、PBL(Project Based Learning)を用いて学生が自ら問題を見つけ、さらにその問題を自ら解決する能力を身に付けています。


■Ryukyufrogs 公式ホームページ


まとめ


 探究型学習とは、「自ら学び自ら考える力」を育てる学習形態をさし、義務教育(小中学校)から高等教育(高校や大学)まで広く取り入れられています。求められている背景には、テクノロジーの発達やグローバル化の流れに対応する人財を育成することが挙げられます。探究型学習では、主体的かつ対話的に学びを促進させていくことがポイントです。

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イノベーター育成者ライセンス事業

PBLとはアクティブラーニングの手法の1つであり、現在多くの大学、高校が注目をし導入も始まっています。

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指導要領の改正によって、「探求学習を実施しなければならないが、何をしていいかわからない。実施はしているが効果的な実施方法を学びたい」などのニーズに応え、PBL/アクティブ・ラーニングカリキュラムの構築・導入、教員研修まで全面サポートします。

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過去に研修を行った事例

沖縄県立普天間高等学校




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