よく耳にするようになった「SDGs」という言葉ですが、何となく世界にとって良い活動をするものということは分かるものの、具体的に何をしているのか分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を簡単に分かりやすくご紹介します。
SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と言います。
SDGsの読み方は「エス・ディー・ジーズ」です。たまに、エス・ディー・ジー・エスと読む方がいらっしゃいますが、最後のGsはGoals(ゴールズ)の略なのでジーズと読みます。
また、SDGsでは17のグローバル目標と169のターゲットで構成されており、「誰も置き去りにしない(no one will be left behind)」という基本理念を掲げています。
こちらがSDGs17の目標です。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレをみんなに
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
今回は、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」について詳しく紹介しますので、それ以外の目標にも興味がある方はこちらからSDGs17の目標と169のターゲットをご覧ください。
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のターゲットとは?
先ほども述べたように、SDGsは17のグローバル目標と169のターゲットで構成されています。
次にSDGs目標9の具体的な課題が記載されているターゲットをご紹介します。
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る
9.1 全ての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとする全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネットアクセスを提供できるよう図る。
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の具体的な課題とは?
次に、SDGs目標9にはどのような課題があるのかみていきましょう。
国連連合広報センターの持続可能な開発目標(SDGs)報告2019にはこのように発表されています。
・後発開発途上国の産業化(開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々)は、2030アジェンダのターゲットを達成できるペースに及んでおらず、1人あたりの製造業付加価値は後発開発途上国が114ドルであるのに対し、欧米は4,938ドル
・2016年データによると、中度・高度先端技術部門は、世界全体の製造業付加価値の45%を占めるのに対し、サハラ以南のアフリカでは、この割合がわずか15%にとどまる
・研究開発への投資額は全世界で2000年時点では7,390億ドルだったのが、2016年には2兆ドルに増大している
・2018年データによると、90%以上の人は3G以上の性能をもつモバイル・ネットワークがある場所で暮らしているものの、金銭的理由から利用できていないケースもある
このように世界経済を発展されるためには、後発開発途上国へのインフラ整備や技術革新への継続的な投資を行わなければなりません。
また、支援だけではなく自然災害が起こっても、すぐ復旧できるようなインフラ作りも大事です。
ここで大事なのは、壊れないインフラ作りをするのではなく、すぐ復旧できるインフラ作りをすることです。
自然災害は私たちが想像できないダメージを与える時があります。
私たちが想像できないダメージとは、全ての自然災害に対応できる壊れないインフラ作りをすることは難しいということです。
なので、自然災害が起こってもすぐ復旧できるインフラ作りが大事なのです。
他には、2015年に発表された同じく国連連合広報センターの持続可能な開発のための2030アジェンダ採択 -- 持続可能な開発目標ファクトシートでは下記の社会課題が問題視されています。
開発途上地域では、約26億人が安定的な電力供給を受けていません。
・全世界で25億人が基本的な衛生施設を利用できていないほか、水資源にアクセスできない人々もほぼ8億人近くに上っていますが、そのうち数億人がサハラ以南アフリカと南アジアに暮らしています。
・信頼できる電話サービスを受けられない人々は、10億人から15億人に及びます。
・低所得国をはじめ、多くのアフリカ諸国では、インフラの未整備により、企業の生産性が約40%損なわれています。
・製造業は重要な雇用産業となっており、2009年には全世界でおよそ4億7,000万人を雇用していますが、これは世界の全労働者29億人の約16%に相当します。2013年の製造業の雇用は、5億人を超えているものと見られます。
・産業化による雇用拡大効果は、社会によい影響を及ぼします。製造業で1人分の雇用が生じれば、他の部門で2人分の雇用が生じます。
・開発途上国の国内で加工される農産物は、わずか30%にすぎません。高所得国では98%が加工されます。このことは、開発途上国に大きなアグリビジネスの機会があることを示しています。
技術が発展していない国では、生きる上で最低限必要な水資源にアクセスできなかったり、信頼できる電話サービスを受けられない人々が15億人も存在します。
また、このような国が発展していくためには、産業化による雇用拡大や産業発展のための安定的な電力供給も行わなければなりません。
SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」達成への取り組み事例3選
最後に、SDGs目標9を達成するためにどのような取り組みが行われているのかをご紹介します。
文部科学省 研究開発局 環境エネルギー課
LEDを超える省エネ社会へ
【材料の力で世界を変える】
世界中に灯りの供給と省エネルギー効果をもたらした青色LEDの正体は「窒化ガリウム(GaN)」という半導体です。GaNは一般的な半導体に比べて、エネルギー変換効率が高いので、例えば車のモーターや通信機器の半導体として使えば、灯り以外の部分でも省エネを進めることができます。車、照明、通信機器の電子部品に必要な高い信頼性・省エネ効果のためにこれまでより高品質なGaNを安定して作る技術が必要です。
GaNの研究は材料となるGaNの結晶をつくるところから始まります。このプロジェクトでは理論やシミュレーションも活用した材料創製からデバイス化・システム応用までを見据えて、大学、企業、文部科学省が一体となって課題解決に挑んでいます。
国立研究開発法人 科学技術振興機構 LEDを超える省エネ社会へ より
三菱電機株式会社
三菱電機は、FA統合ソリューション「e-F@ctory」を提案しています。生産現場からリアルタイムに収集した各種データを活用目的に合わせて一次処理し、現場で活用するデータは即座に生産現場にフィードバックするとともに、上位の情報活用に必要なデータはITシステムへ供給し、全体として最適な「ものづくり」の環境を提供していきます。
こうした環境を用いて、継続的な改善活動をすることで、省エネルギーに大きく貢献します。
国立研究開発法人 科学技術振興機構 製造時のエネルギー削減ニーズに応える機器・装置、ソリューションをグローバルに提供 より
東京大学 生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター
プロジェクト:「ミャンマーの災害対応力強化システムと産学官連携プラットフォームの構築」
都市の災害リスクを評価し、将来の災害に備える
ミャンマーでは国土や都市の大規模な開発が進行しつつありますが、都市人口の拡大や気候変動による災害リスクの増大が問題となっています。本課題では、開発に伴う地形や地盤、都市環境の変化等をモニタリングし、将来的な災害脆弱性を評価するシステムを開発します。事前に災害リスクを洗い出すことで、的確な地域開発計画や防災対策の策定に資することを目指すとともに、ミャンマー政府の災害対応力強化を支援します。
研究成果の普及に努め、アジア各国の災害対応力の向上に貢献する
安全な都市の形成には産学官の連携が不可欠です。連携推進のためにコンソーシアムを立ち上げる予定でありますが、その核となる「都市安全研究センター(仮称)」の設立がすでに決定しています。ミャンマーでの課題解決がモデルとなり、アジア各国の災害対応力の向上が期待されています。
国立研究開発法人 科学技術振興機構 災害リスクの評価と万全な備えで、安全な都市を形成 より
まとめ
世界経済を発展されるためには、後発開発途上国へのインフラ整備や技術革新への継続的な投資を行わなければなりません。
世界で起こっているインフラ未整備や安定的でない電力の供給により、産業が発展しない問題や、地球全体が持続可能な経済成長を続けるためには、新しい技術の発展も必要です。
最後に
弊社では国際社会の共通目標「SDGs」を子ども達へ理解してもらい、課題をどう解決するかを考えるワークショップを行なっています。
FROGS版SDGsワークショップ
弊社のSDGsワークショップでは、小学校高学年以上の学生向けのグループワーク形式のワークショップを行なっております。
まず、SDGsについてや、17の目標を子供達にも分かりやすく説明した上で「2030年、幸せな社会とは何か?」という問いを子ども達に考えてもらいます。
その後、自分たちが求める幸せな世界はSDGs17の目標のどれに当てはまるか、またそれを実現させるには今現在どのような課題があるのか、それをどう解決するかまでを考えてもらい、最後には発表をしてもらいます。
このように今起こっている課題に対して、自分だったらどのように解決するかを考えてもらうことで、課題を「自分ごと」にし、行動を促すワークショップとなっています。
2019年1月に行なったSDGs研修では、子ども達メインのワークショップに保護者も混ざって一緒にワークショップを行いました。
そこでは、子ども達、保護者が考える2030年の幸せな世界について議論していました。
このようにFROGSでは、子どもと大人が混ざってワークショップを行う研修もご用意しております。
また、その様子を沖縄地元紙の琉球新報さんがまとめてくださったのでぜひ、こちらからご覧ください。
弊社のSDGsワークショップについて気になった方は、各種研修紹介ページからお気軽にお問い合わせください。
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