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SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?日本の現状やいかに!?

世界各国ではSDGs(持続可能な開発目標)で発表されている17の目標を達成するために様々な活動が行われています。


今回はそのSDGsに掲げられている目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」について詳しく説明します。

 

SDGs17の目標とは

SDGsとは2030年までに世界中のみんなで協力してより良い社会を作りましょうと国連で定められた目標です。


その目標には社会課題を大きく分けた17の目標が存在しており、今回はその目標のうちの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」にフォーカスした内容をお届けします。


また、17の目標にはさらに社会課題を細分化した169のターゲットも定められています。


SDGsに掲げられている17の目標と169のターゲット全てを知りたい方はこちらからご覧ください。


こちらがSDGs17の目標です。

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレをみんなに
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさを守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう


 

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の具体的な内容

それでは次にSDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に記載されている具体的な社会課題と日本の現状をご紹介します。




5.ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る


5.1 あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。

5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、全ての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。

5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。

5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。

5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、並びにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。

5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。

5.b 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。

5.c ジェンダー平等の促進、並びに全ての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。




 

そもそもジェンダーとは?

ところでみなさんは、ジェンダーという概念を知っていますか?

SDGsに掲げられている目標には、「女性」や「女児」という言葉が入っているので、

「男性にはあまり関係なくて、女性に関係あることでしょ」

と思っている方もいるかもしれませんが、ジェンダーとは私たち人類全てに関わっています。


ジェンダーとは、「男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係」を意味します。(参照:UN WOMEN日本事務所「ジェンダーとは?」)

つまり、身体の性に基づいて「女/男はこう」と決められたり、「女/男だからオッケー、ダメ」と許容されたり評価されたりすることは全てジェンダーに関わっています。

「女らしさ・男らしさ」という言葉はまさにジェンダーを表しています。

ちなみにみなさんも、学校や職場の友人、同僚との会話で「女らしさ・男らしさ」という言葉を使ったことはありませんか?

(本当はそこに男女は関係ないはずです。ぜひ次回からは「女らしさ・男らしさ」という言葉以外で表現できないか意識してみてくださいね!)


実は、ほとんどの社会では「課せられる責任や負うべき活動、資金・資源へのアクセスと支配、意思決定の機会において、女性と男性の間に違いや不平等が存在」すると言われています。



 

もしあなたが途上国の女の子として生まれたら・・・


実際に、ジェンダーが理由で起こっている不平等についてみてみましょう。

以下に記載したのは、JICAUNDPUNICJANICが実行委員会となり発足した「なんとかしなきゃ!プロジェクト(2019年3月終了)」のホームページで紹介されている途上国の女性が直面するジェンダーの壁の例です。



女児中絶
南アジアでは、「女の子は将来の稼ぎ手として期待できない」「嫁ぐ際にダウリー(結婚持参金)が必要で家計に負担」などの理由で、女の子は中絶の対象になりがちです。

家事労働
水汲み、食事の支度、掃除、幼いきょうだいの世話は女の子の役目。多くの家事を任され、勉強する時間は削られてしまいます。家事の担い手として、女の子の負担が本格的に増えていきます。

HIV/エイズ
貧しい女の子は、HIV/エイズに関する正しい情報や予防知識を得る機会が少ない、性行為における決定権がない、生計のために性産業に従事せざるを得ないといった理由から、感染の危険性が高まります。エイズ患者や孤児の世話も女性の役目。

紛争・暴力 人身売買
女の子は、家庭、学校、社会で暴力や虐待の対象になりがち。紛争の際には、“兵士の妻”や世話係として誘拐のターゲットに。教育の機会を奪われ、望まない妊娠を強いられます。
人身売買業者は、「よい仕事がある」などと女の子を言葉たくみに連れ出したり、誘拐したり。女の子が“売られる先”は、性産業や工場など。そこには、虐待や健康被害などの危険が待ち受けています。

生産資源へのアクセスの欠如
女性は男性より、農地や家畜などの生産資源を相続・所有できない傾向にあります。名義を持たない場合は、農作業や家畜の世話、ひいてはそこから得る利益の使い道についての決定権も持てません。金融機関から融資を受けることもできません。

5歳未満児死亡率
貧しい家庭では、男の子が病気になると病院に連れて行ったり薬を買ったりしますが、女の子の場合は何もしないケースがあります。5 歳まで生き延びることは、女の子にとって男の子より難しいのです。
 
中等教育の欠如
中等教育は、女の子が将来よりよい職業や収入を得て、自由な選択のできる人生を歩むために必要不可欠。にもかかわらず、初等教育の就学率は上がる一方で、中等教育のそれは急減します。

経済参加の機会の欠如
家事育児、老人の介護や看護。収入に結びつかない労働が女性の肩に重くのしかかります。職業訓練や農業訓練も多くが男性対象で、仕事のスキルを身につける機会も制限されます。稼ぎ手でないため、家庭内での女性の発言権は弱まります。

早すぎる結婚と妊娠
古くからの慣習のため、10代で結婚させられる女の子たち。教育の機会を奪われるだけでなく、幼いうちの妊娠・出産で命を落とすことも。これは産前産後の医療ケアや知識が乏しい、不衛生な環境での出産なども原因です。
 
政治・政策決定への参画の欠如
家事労働に追われ自由な時間がない、慣習により移動の自由が制限される、読み書きが不自由である。こうした理由で、女性は地域の集会や投票など、「声」を上げる活動に参加できず、女性リーダーや政治家も生まれにくい土壌に。

参照:https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/gender/gender_episode_02.html




 

発展途上国だけの問題ではない?日本のジェンダー平等の現状


では、ジェンダーは発展途上国だけの問題かというと、そうではありません。

2019年12月に、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表した「Global Gender Gap Report 2020」では、2020年の日本の順位は153か国中121位と、他の先進諸国に比べて低い順位でした。


順位は、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を基に決められており、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成されています。0が完全不平等、1が完全平等を示しており、日本の総合スコアは0.652でした。(1位はアイスランドで0.877)


分野別の指数を見ると、

教育分野は0.983(91位、1位アイスランド0.999)、健康分野は0.979(40位、1位アイスランド0.968)と、差は少ないものの、経済分野では0.598(115位、世界平均0.582)と、世界平均と同程度、政治分野では0.049(144位、世界平均は0.239)と、差がついています。






 

まとめ〜わたしたちにできること〜


ジェンダーの不平等を解消するためには、制度を整えることが重要な要素の一つにもなります。子育てがしやすいように、男女共に産前産後の休暇を取りやすくする、保育園の数を増やすなどが考えられます。


一方、身近なレベルでもジェンダーを考えることができます。

父親と母親の仕事以外の家事や育児の分担の割合を実際に書き出してみることで、バランスの差が認識できるかもしれません。

日本において、まずはジェンダー格差があるという認識を揃えることが、問題解決のスタートになるはずです。


 

最後に

弊社では国際社会の共通目標「SDGs」を子ども達へ理解してもらい、課題をどう解決するかを考えるワークショップを行なっています。


FROGS版SDGsワークショップ

弊社のSDGsワークショップでは、小学校高学年以上の学生向けのグループワーク形式のワークショップを行なっております。

まず、SDGsについてや、17の目標を子供達にも分かりやすく説明した上で「2030年、幸せな社会とは何か?」という問いを子ども達に考えてもらいます。

その後、自分たちが求める幸せな世界はSDGs17の目標のどれに当てはまるか、またそれを実現させるには今現在どのような課題があるのか、それをどう解決するかまでを考えてもらい、最後には発表をしてもらいます。

このように今起こっている課題に対して、自分だったらどのように解決するかを考えてもらうことで、課題を「自分ごと」にし、行動を促すワークショップとなっています。

2019年1月に行なったSDGs研修では、子ども達メインのワークショップに保護者も混ざって一緒にワークショップを行いました。


そこでは、子ども達、保護者が考える2030年の幸せな世界について議論していました。このようにFROGSでは、子どもと大人が混ざってワークショップを行う研修もご用意しております。

また、その様子を沖縄地元紙の琉球新報さんがまとめてくださったのでぜひ、こちらからご覧ください。

弊社のSDGsワークショップについて気になった方は、各種研修紹介ページからお気軽にお問い合わせください。



参考

UN WOMEN 日本事務所 ジェンダーとは

男女共同参画局 「共同参画」2020年3・4月号

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